今回紹介する【ファンタジア】は、耳で楽しむクラシックを目でも楽しめるように作られた、いわゆる『怪作』。
誰もが知ってるクラシック音楽と共に映る映像はまさに『圧巻』・・・。
今回は、劇中歌の詳細を交えて紹介していきます!
目次
ファンタジアはこんな人にオススメ!
©DISNEY
- ミュージカルはちょっと苦手だけど、ディズニー作品も見てみたい!
- 思考して楽しめる作品を探している!
- 空想が大好き!想像力で物語を楽しみたい!
ファンタジアの評価
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- 映像:
- 感動:
- 音楽:
- ストーリー:
ファンタジアのストーリー構成
©DISNEY
- 「物語性のある曲」
- 「物語はないが、一連の情景を描いた曲」
- 「音の構成を重視した曲」
ファンタジアは3種類に分けたクラシック楽曲を、それぞれアニメーションにして繋げたオムニバス作品です。
作中楽曲とあらすじを紹介
ファンタジアにはセリフがないものの、魅力あふれるキャラクターたちが数々登場します。彼らの紹介や、使用された楽曲についての情報も交えながら、この魅力あふれるクラシック作品「ファンタジア」を語っていきたいと思います!
トッカータとフーガ ニ短調
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- 楽曲の特徴:音の構成を重視した曲
- 作曲者:ヨハン・セバスティアン・バッハ
- 公開年:1708年~1717年
ファンタジアのはじまりは、物語性を一切感じず、曲名も意味を持たない「トッカータとフーガ ニ短調」から始まります。初めは演者たちがライトアップされている映像が映し出され、どこでどの楽器が用いられているのかがわかりますが、徐々に世界観がアニメーションに移り変わっていきます。演奏している楽器を連想させるいくつもの「線」を用いて、楽曲を鮮やかに描いています。
そもそもクラシックやBGMといった、歌詞のない楽曲から背景を思い浮かべるなんて難しい・・・と感じる人も多いはずです。でも、実際にトッカータとフーガのシーンを見ると、アニメーションと楽曲がリンクしていることに気づくでしょう。音を拾うような感覚に、ぜひ浸ってみてください!
組曲「くるみ割り人形」
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- 楽曲の特徴:物語性のある曲
- 作曲者:ピョートル・チャイコフスキー
- 公開年:1816年
くるみ割り人形といえば、昨今でも題材となった作品として「くるみ割り人形と秘密の王国」が登場しましたよね。でもファンタジアの映像にはくるみ割り人形が出てこないのは驚きです。
代わりに、自然を象徴する精霊や可愛らしいきのこたち、魚や花たちが妖艶に舞い踊る姿が描かれています。楽曲自体にストーリーがあるにも関わらず、そのストーリーに固執しない自由な発想が生み出した妙案ですね。なにより、表情がないのに活き活きと動いている彼らに愛着が自然と湧いていくのも魅力の一つ。
そして最後のシーンでは、ここまで静かな楽曲で展開していた雰囲気が一変。軽快なリズムでコサックダンスを踊る花々が映し出されます。楽しい雰囲気に、ついついこちらまで体が動き出したくなるような気持ちになります。どのシーンを切り取っても引けを取らない美しさの数々が楽しめます
魔法使いの弟子
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- 楽曲の特徴:物語性のある曲
- 作曲者:ポール・デュカス
- 公開年:1897年
ディズニーファンなら、この曲名を聞くと「あ、ミッキー!」と言いたくなりますよね!
今ではパーク内やグッズに登場する、赤い衣装に青い三角帽子を被ったミッキーはこの作品から登場し、リマスターされた映像がそのまま「ファンタジア2000」へ引き継がれるほどの人気ぶりです。
この作品でのミッキーの立ち位置は、タイトルそのまま「魔法使いの弟子」です。イェン・シッドという魔法使いの元で雑用をこなして修行を重ねる彼ですが、ある日イェン・シッドの目を盗み、彼が魔法を使うための帽子を勝手に使ってしまいます。ほうきを操って掃除を楽にしてしまおうと考えたのですが、その行動がとんでもない結果を招きます・・・。
春の祭典
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- 楽曲の特徴:物語はないが、一連の情景を描いた曲
- 作曲者:イーゴリ・ストラヴィンスキー
- 公開年:1913年
タイトルを見ると「あ、春らしい温かみのある曲かな?それとも、元気になれるようなテンポの良い曲かな?」とお感じになるかもしれませんが、楽曲的には確かにそうなんです。曲調の上下はありますが、冬から春に変わる姿を描いた楽曲です。
しかし、ディズニーのクリエイターはこれとはまた違った観点でアニメーションを描きました。なんと、地球の誕生~恐竜等生命の絶滅までを描いてしまったのです。音ハメが非常に良くできていて、映像も迫力のある作品に仕上がっていて、ファンタジアの中でも特に力の入った箇所だと良くわかる・・・のですが、多くの方から「トラウマになった!」という声を聞きます^^;。
というのも、実際生き物が生きるための弱肉強食がリアルに描かれてるため、絶命シーンはもちろん、捕食から骨化にいたるまでリアルに描かれています。ここまでのアニメーションが「美しく、可愛らしく、楽しさもある」な雰囲気だっただけに、この急転直下はかなり驚きます。皆さんも、心してみることをお勧めします・・・。
インターバルタイム
「春の祭典」の後に、司会者から15分の休憩が告げられますが、ファンタジア公開当初は実際にあった休憩時間なんです。アニメーションとはいえクラシック音楽を扱っているため、普段のディズニーアニメーションとは異なり疲れやすかったり飽きてしまうもの。休憩を挟むことで、次の楽曲への期待も回復させる、という狙いも含めての時間だったのだとか。
また休憩直後すぐに公演を再開するのではなく、司会者によるサウンドトラックの定義の説明を、アニメーションを交えて紹介してくれるんです。このシーンだけでも地味に頭がスッキリするので、是非飛ばさずに見ていただきたいです!
ちなみに、Disney +で配信されているファンタジアは、休憩時間の箇所が編集され短縮されていますのでご注意ください。
田園交響曲
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- 楽曲の特徴:物語性のある曲
- 作曲者:ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- 公開年:1809年
明るい田園風景を描いたクラシック音楽、「田園交響曲」この楽曲に相応しい、ファンタジックな世界を融合させたアニメーションで綴られる物語は、私たちの想像力を働かせます。
物語はペガサスとケンタウロスンたちが音楽に乗せて踊るシーンからスタートします。いたずらをしちゃうケンタウロスや、黒く雄々しいペガサスや白く美しいペガサスの間に生まれた子供たちの元気な姿が描かれます。
場面が変わると、男性と女性の姿をしたケンタウロスが、それぞれ恋人を見つけるための時間が始まります。女ケンタウロスの元には、彼女たちを手助けするキューピットたちがいますが、それでもなかなか勇気が出ずにいる子たちもいるようで・・・。現代の恋愛アニメやドラマに通ずるドキドキ感が楽しめるシーンです。
みんなで葡萄酒を作ってお祝いするのですが、時にはギリシャ神話に出てくる神々のお遊びがすぎる場面も。濃厚なストーリーで描かれる「田園交響曲」のシーンは、見ているだけで幸せになれそうな要素がてんこ盛りです!
時の踊り
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- 楽曲の特徴:物語はないが、一連の情景を描いた曲
- 作曲者:アミルカレ・ポンキエッリ
- 公開年:1876年
胸がキュンとなる世界を楽しんだら、次は様々な動物たちが登場するバレエの世界へ行ってみましょう!
はじめにダチョウたちがバレエを披露します。美しい踊りを見せるのですが、途中から果物を奪い合う展開になってしまいます・・・。続いて、カバたちの水浴びバレエが始まり、自身の美しさに自信のあるカバが、得意げな姿でプリマドンナになりきります。
彼女が寝ちゃうと、今度はゾウさんがこっそり水浴びのバレエ。そしてワニが登場し、美味しそうなカバを狙って踊りに誘いますが、ここからの展開がまさにディズニークオリティ。ハチャメチャな展開で、自然と視聴者を笑顔にさせてくれます。これ!といった明確なストーリーはないものの、雰囲気を感じて笑える内容になっているのが「時の踊り」の大きな特徴ですね!
禿山の一夜
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- 楽曲の特徴:物語性のある曲
- 作曲者:モデスト・ムソルグスキー
- 公開年:1866年~1867年
ラストを飾るアニメーションは、まさにファンタジアの真骨頂といってもいい作品です。2部構成になっているこのシーンの第1部が、この禿山の一夜です。
ファンタジアの世界で描かれるのは、夏至の時期から弱くなる日の光にスポットを当てた「悪魔の存在」。悪魔は陽が沈むと、麓にある街から死者の魂を呼び寄せ、騒ぎ立てるのです。一見するとお祭りに見えるその場所では・・・あまりにも残酷な、でも「辞めたくてもやめられないお祭り」が行われていたのです・・・。
「ファンタジア2000」同様、ラストを飾るのは恐ろしくも美しい映像。最初は理解するのが困難なシーンもありますが、それでも衝撃と恐怖は脳裏に焼き付くことでしょう。1940年の作品とは思えないアニメーション技術によって描かれたこの物語は、陽が明けると同時に訪れる死者の帰還によって、次のシーンへ移っていきます。
アヴェ・マリア
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- 楽曲の特徴:音の構成を重視した曲
- 作曲者:ヨハン・セバスティアン・バッハ
- 編曲者:シャルル・グノー
- 公開年:1859年
「禿山の一夜」に続く物語で、ここからは死者たちに安らぎを与える「鎮魂」のためのシーンが描かれます。
特に大きなストーリーはありませんが、「禿山の一夜」により集められた魂への鎮魂をこめ、街の人々は灯火を携えて山の中を巡礼します。
アヴェ・マリアのシーンは、アニメーターが力をかけた、いわゆる1発撮りなんです。今では場面転換させてシーンを変えることでイラストの質を維持することがメインなのですが、アヴェ・マリアでは場面を転換させず、ただひたすら一連の場面を描き続けるというアニメーターにとっては鬼畜の所業を成し遂げているのです。
「禿山の一夜」でかき乱された私たちの心も安らぐようなシーンで、ついつい安心感を得られるような雰囲気に・・・魂を持って行かれそうです・・・。
ファンタジアの感動は一生モノ!
今回は、ファンタジアで登場する曲や内容を紹介させていただきました。少し長めの作品ですので見るには気力が入りますが、全編観た後の感動は一生モノです。是非一度、クラシックの素晴らしさを味わってみてください!